カロリーを減らせば脂肪が減る？その考え方、40代以降は通用しません

知っていますよね。20代の頃は、1日食事を抜けば簡単に2キロ減っていました。それが今では、同じことをしても、体重計の針はピクリとも動きません。むしろ、数日後にはリバウンドで元の体重よりも重くなってしまう。

「おかしい！カロリーを減らしているのに！」

そんな心の叫びを抱えているあなたに、今日はその謎を科学的に解き明したいと思います。実は、40代からの体には「ルールの変更」が起きているのです。若い頃の成功体験が、今のあなたを苦しめる最大の呪いになっている理由を、一緒に見ていきましょう。

なぜ、私たちは「カロリーを減らせば痩せる」と信じてしまうのか？

覚えていますか？20代の頃、ちょっと食べ過ぎた翌日に朝食を抜いて、夕方には「痩せた！」と喜んでいたあの感覚を。この「成功の記憶」は、私たちの脳に深く刻み込まれています。

しかし、40代以降の体は、20代の体とは全く違う生物になっています。同じ方法を試しても、同じ結果は得られません。それどころか、真逆の結果を招いてしまうことさえあるのです。40代からのダイエットで最も危険なのは、「若い頃の成功体験」にしがみつくことです。

40代の体に起きる「ルールの変更」—ホルモンという、見えない力

40代を境に、女性の体には劇的な変化が起きています。その主役が、女性ホルモンの「エストロゲン」です。ところが、40代に入ると、このエストロゲンが急激に減少し始めます。

ここで恐ろしいのは、この状況に無理な食事制限を加えることです。体がすでにストレスを感じているところに、さらに栄養不足という大きなストレスを与えてしまうのです。すると、ストレスホルモンである「コルチゾール」が大量に分泌され、脂肪を蓄積させ、代謝を司る「甲状腺ホルモン」の分泌も抑制されてしまいます。

頑張るほど太る、「負のスパイラル」の正体

この恐ろしいメカニズムを、もう少し詳しく見てみましょう。まず、カロリー制限を始めると、体は「飢餓状態だ」と判断し、代謝を下げて消費カロリーを節約し始めます。次に、栄養不足により筋肉が分解され、さらに代謝は落ちていきます。同時に、コルチゾールの影響で、脂肪細胞が活発になります。

「おかしい！」と思ったあなたは、さらに食事を減らします。すると、コルチゾールがさらに増え、甲状腺ホルモンがさらに減り、筋肉がさらに分解されて…という、まさに「負のスパイラル」が完成してしまうのです。

では、どうすればいいのか？—すべての鍵は「自律神経」にあり

エストロゲン、コルチゾール、甲状腺ホルモン...これらのホルモンを支配している、さらに上位の存在があります。それが「自律神経」です。体を整える本当の順番は、「カロリー → 運動」ではなく、「自律神経 → ホルモン → 代謝」なのです。

では、この自律神経を、私たち自身でコントロールする方法はあるのでしょうか？実は、あります。それも、とてもシンプルな方法で。

あなたが今すぐ始めるべき、たった一つのこと

自律神経を、自分の意思でコントロールできる唯一の方法。それが「呼吸」です。正しい呼吸を身につけることで、副交感神経が優位になり、ストレスホルモンの分泌が抑制され、ホルモンバランスが整い始めます。